その解約、大丈夫?! 知らなかったでは済まされない、ペット保険の乗り換え時の落とし穴
2016/04/13
現在契約中のペット保険を解約し、別の保険への加入を検討する場合、あらかじめ確認しておかなければならないことがあるのは、ご存知だろうか。
ペット保険業界では当たり前の話なのだが、それゆえ、あなたが契約中の保険の解約を契約先の保険会社に申し出ても、受け付けた担当者からそうしたアドバイスを頂けることはまず無いだろう。
解約や乗り換えに関してしっかり理解していないと、最悪の場合、どこのペット保険会社にも加入できない「無保険状態」になってしまう悲劇も起こり得る。
「こんなハズではなかった」と後悔しないためにも、解約・乗り換えを実行する際の注意点をまとめてみた。
ペット保険の乗り換え前に必ずチェックしておきたいのは、ワンちゃんやネコちゃんに関する次の点だ。
チェックポイント1:現在治療中の病気やケガ、慢性の病気の有無
チェックポイント2:年齢
チェックポイント3:過去の重症歴
なお、本題に入る前に、今回取り上げる「解約」「乗り換え」について簡単に整理する。
ペット保険の「解約」とは、保険会社に対して契約者から申し出ることによって(多くの場合は契約期間の途中で)ペット保険契約を解除することを指し、
解約が成立すると、成立した時点以降の補償やサービスは一切受けられなくなる。
また、「乗り換え」とは、現在の契約を解約した後、新たに別の保険に加入する一連の手続きを指し、例えば、契約先の保険会社を変更する場合に一般的に行われる。乗り換えの際の新規加入にあたっては、加入時点における健康状態や年齢等、加入先の保険会社による「基準」を満たす必要がある。
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チェックポイント1)現在治療中の病気・ケガ或は慢性の病気がある場合、乗り換え後、補償されない
横浜市に住むKさんの場合
「前に入っていたペット保険は、有名な割に保険金請求の時の対応がいまいち。補償が良いとクチコミであった保険会社に乗り換えたのだけど、うちのチョコ(トイプードル 2歳 オス)の前に治療を終えたのに外耳炎は補償対象外って言われてしまったの・・。解約しなければよかったわ・・。」
ペットが軽いケガや病気で治療中、あるいは慢性の病気にかかっている場合、解約後の乗り換え先の保険では、保険金支払いの対象外(特定部位不担保)になる可能性がある。
現在治療中の病気ケガがある場合は、まず完治をさせよう。乗り換えはそのあとだ。
慢性的に治療が必要な病気がある場合は、乗り換え先では補償対象にならない可能性が高いので、現在加入中の保険の限度日数・限度金額を使い切ってしまってから乗り換えを検討したほうがよいだろう。
乗り換えの際、病気の中で注意したいのが「皮膚炎」「外耳炎」「膀胱炎」など、特に犬では発症頻度が高い繰り返しやすい病気に罹患している場合である。今は収まっていても、再発した場合、継続治療扱いとなり補償対象外となるケースが多いため注意が必要だ。
また、猫に多い「膀胱炎」や「尿石症」も非常に繰り返し易いため、乗り換え後は補償対象外になる可能性が高い。
こうしたことを考慮し、乗り換え先のペット保険会社で補償対象外になる可能性を念頭に置きながら手続きをすすめることが大切だ。
犬猫で繰り返しやすい病気例一覧
あくまでも一例です。下記以外にも多く繰り返しやすい病気はありますので、補償対象になるかについては各ペット保険会社にお問い合わせください
部位
耳
病名
外耳炎・中耳炎
主な原因
寄生虫・アレルギー・菌感染他
項目
体
病名
皮膚炎・疥癬(かいせん)症
主な原因
寄生虫・ダニ・アレルギー・菌感染他
項目
泌尿器系
病名
尿石症・膀胱炎
主な原因)
細菌感染・飲料の減少・ミネラルの過剰摂取
項目
目
病名
結膜炎・チェリーアイ(第三眼瞼腺逸脱)
主な原因
細菌感染・先天要素・外傷
項目
胃腸
病名
炎症性腸疾患.
主な原因
先天要素・細菌感染
チェックポイント2)ペットが高齢だと、ペット保険の乗り換え先が限られてくる
金沢市に住むEさんの場合
「うちのハナ(柴犬 10歳)は、人間にたとえると70歳くらいなのにとっても元気です。
高齢になってから保険料がだいぶ上がってきたので保険を乗り換えようとしたら、意中のペット保険にはもう加入年齢を超えていると言われ入れませんでした。。この保険料を払い続けるのは正直大変で、もっと早く乗り換えておけばと後悔しています。」
ペット保険の乗り換えは、新規加入年齢がネックになり加入先が限られてしまうケースがあるため、解約前には乗り換え先の新規加入年齢を確認しておきたい。下記表に主なペット保険会社の新規加入年齢・更新年齢をまとめたので参考にしていただきたい。
ペット保険会社の新規加入年齢・更新年齢一覧表(犬・猫)
新規加入年齢のが高齢な保険会社順。詳細については各保険会社までお問い合わせください。
会社名
アクサダイレクト
新規加入年齢
設定なし~9歳未満
(申込書からは14歳未満)
継続可能年齢
終身継続
アイペット
新規加入年齢
設定なし~13歳未満
継続可能年齢
終身継続
会社名
ペッツベスト
新規加入年齢
生後50日以上~17歳未満
継続可能年齢
16歳まで
会社名
AU損保
新規加入年齢
生後30日以上~満11歳未満(申込書募集なし)
継続可能年齢
終身継続
会社名
ガーデン
新規加入年齢
生後31日以上~11歳未満 (WEB90%プランのみ7歳未満)
継続可能年齢
20歳まで
会社名
あんしんペット
新規加入年齢
生後31日以上~11歳未満
継続可能年齢
20歳まで
会社名
もっとぎゅっと
新規加入年齢
設定なし~9歳未満
継続可能年齢
終身継続
会社名
FPC
新規加入年齢
生後30日以上~9歳未満
継続可能年齢
終身継続
会社名
ペットメディカルサポート
新規加入年齢
生後120日以上~9歳未満(100%補償WEBのみ5歳未満)
継続可能年齢
終身継続
会社名
日本アニマル倶楽部
新規加入年齢
生後60日以降~小・中型9歳未満
大型犬 6歳未満
猫 9歳未満
継続可能年齢
終身継続
会社名
アニコム
新規加入年齢
設定なし~8歳未満
継続可能年齢
終身継続
会社名
ペット&ファミリー
新規加入年齢
生後45日以上~7歳未満
継続可能年齢
終身継続
チェックポイント3)過去に重病や重症のケガを負ったことがある場合乗り換えができない
世田谷区に住むAさん
「猫のもなかは12歳になり、ペット保険歴は5年です。あまり保険にお世話になることがなかったのですが、今年から腎臓の病気を患ってしまいました。1年間治療し、ようやく落ち着いたのですが、来年からは補償対象外との連絡を受けました。がっかりして、乗り換え先を調べ問い合わせたのですが、腎臓病になった猫は引き受けできないといった残念な回答ばかりでした・・。」
「心臓病」・「腎疾患」・「肝疾患」・「猫白血病」など完治が難しい疾病は他社への乗り換えが難しくなるため解約は慎重に検討したほうが良い。たとえ乗り換え加入ができたとしても、1)同様引き受けに制限がかかる可能性が高い。
下記にペット保険加入が難しいと考えられる主な傷病を一覧にした。該当の可能性がある場合は乗り換え検討先のペット保険会社に確認をとったほうがよい。
ペット保険加入が難しいと考えられる主な傷病一覧表
あくまでも一例です。下記以外にも多く繰り返しやすい病気はありますので、補償対象になるかについては各ペット保険会社にお問い合わせください
傷病の引受について
多くのペット保険会社で引受不可となっている傷病
傷病名
脳疾患・心疾患・悪性腫瘍(ガン)慢性腎不全・糖尿病・肝硬変(肝線維症)・副腎皮質機能低下症(アジソン病)・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)・甲状腺疾患・免疫介在性血小板減少症 ・免疫介在性溶血性貧血・巨大結腸症・巨大食道症(食道拡張症)・膵外分泌不全 ・猫伝染性腹膜炎・猫白血病ウイルス感染症など
項目
一部のペット保険会社で引受不可となっている傷病
椎間板ヘルニア・膝蓋骨脱臼・尿石症(ストラバイト結晶など)など
いざ解約をしてペット保険を乗り換えようと考えても、今まで補償されていた病気やケガが補償対象外になる。ペット保険の乗り換え先がなくなるなどリスクがあるので、各社のホームページで確認したり、ペット保険の比較をすることや、コールセンターへ問い合わせなどして、悔いの残らない形で手続きをしていただきたい。
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ライター紹介
石川 拓也
保険、共済関連のフリーライターです。昼間の顔は、某保険会社関連企業でアナリストをしています。1974年生まれ、男性。ちなみに、名前はペンネームです。 更新情報などを配信しますので、よろしければ、Twitterへフォローをお願いします。