ペット保険ニュース どうした、アニコム?<後編>
2015/12/04
ペット保険シェアダントツNo.1のアニコム損害保険株式会社が、何やらおかしい。
混迷する業界最大手が実行した2つの大改定。
同社の特徴とも言えた無制限補償の廃止を追った前回に引き続き、今回もアニコムの大改定に迫ります。
●安心して治療を受けられるはずが、保険料割増!?
もちろん、愛しいワンちゃんやニャンちゃんがいつまでも元気で健康でいてくれることが一番です。ただ、その保証がない以上、愛犬・愛猫の万が一に備えるために、私たちはペット保険への加入を検討します。
今後どのようなケガや病気を患うかなんて、加入時点ではもちろんわかりません。
ましてや、その治療に必要な費用や期間がどの程度になるかは、その時の症状の程度や動物病院の治療方針によって大きく異なってきます。
万が一、治療期間が20日を超えてしまった場合、無制限補償が廃止されたアニコムの新プランでは、20日超の部分は補償されません。
次年度契約の保険料が「割増」になる可能性もあるのです。
安心してペットの治療に専念できるようにと、保険に加入したのに・・という声が上がる気がしてなりません。
今回の改定のもう1つ大きな点は、新たに導入される「健康割増引制度」です。
これは、判定期間内の保険の利用状況によって割増引が適用される制度です。通院・入院日数 / 手術回数の合計に対して、割増引率が設けられており、具体的な率・判定期間については以下の図のようになります。
通院・入院日数 / 手術回数 |
割増引率 |
0回 |
10%割引 |
1~5回 |
5%割引 |
6~19回 |
割増引なし |
20~39回 |
20%割増 |
40回以上 |
50%割増 |
現在の契約が1年目(初年度契約)の場合:6ヶ月
現在の契約が2年目以降の場合:1年間
※1年間の判定期間のうち、保険の利用回数が20回超える場合は、第2判定期間(6ヶ月)の利用回数で判定します。
限度日数の話でも触れたように、96%のご契約者さまが、年間利用日数の合計が通院・入院あわせて20回を超えていないという結果がでています。そのため、健康割増引制度が適用になったとき、多くのケースが次年度の保険料が「割引」になるか、もしくは「割増引なし」に該当することとなるでしょう。
もちろん、ずっと元気で健康でいられることが一番です。
でもいつどのような病気にかかってしまうか、治療期間がどれくらいかかるのかなんて、加入時点ではわかりません。
その時の症状の程度や動物病院の治療方針、また動物病院は自由診療であるという点も含めると、負担する費用も異なってきます。
万が一、半年間または1年間で20日を超えてしまった場合、次年度契約の保険料が「割増」になる可能性もあるのです。
安心してペットの治療に専念できるようにと、保険に加入したのに・・という声が上がる気がしてなりません。
犬と猫、また品種によっても、かかりやすい病気やケガなど、異なる点がありますから、目の前にいるペットちゃんのことを、今まで以上に知った上で保険を検討できると、ニーズに当てはまる内容について、より選びやすくなるかもしれないですね。
●ペット保険市場の今後は・・
今回の商品改定で、アニコムの強みが薄れてしまったように感じます。
取り扱う商品や保険のしくみなどに、他社との大きな差がなくなってきています。
それでも、動物病院の窓口で「どうぶつ健康保険証」を提示するだけで、保険金請求が完了し、その対応病院数は業界トップクラスです。さらにサービス面においても、獣医師やアニコムカウンセラーとお話しができる(しつけ・健康相談サービス)や、「迷子捜索サポートサービス」など充実しています。
しかしながら、各社の補償内容や商品のしくみに大きな差がなくなっていている今、これらの付帯サービス差が高めに設定されたアニコムの保険料に見合う内容となっているかは、お客さまによって判断が分かれるところだと思います。
これまでペット保険市場シェアNo1のアニコムでしたが、お客さまの動向によっては、今回の改定を機に、今後の明暗が分かれそうな予感がします。
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ライター紹介
ちひろ
1985年生まれ、動物看護師をやっていました。現在は保険代理店勤務の夫と犬1頭・猫2頭と都内に暮らしています。動物病院勤務の経験からペット保険には詳しくいです。家事とペットの世話の合間に記事を書いていますので、投稿は少な目ですが、よろしくお願いします。