契約可能年齢と保険始期日 – ペット保険を徹底比較 vol. 1

2012/07/25

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ペット保険会社9社が販売するペット保険について、プロの視点による徹底比較をシリーズでお届けします。

第1弾は、「契約可能年齢」と「保険始期日」について。

一般の方には理解が難しかったり、つい見過ごしてしまいそうなポイントも逃さず取り上げ、わかりやすく解説します。

契約できる年齢なのに、保険に加入できない?!

以前に『これで安心、迷わないペット保険選び 3つのポイント』でも触れたが、現在取り扱われているペット保険はすべて、新たに保険に加入する際の「年齢」に制限がある。保険に加入が可能なペットの年齢範囲、いわゆる「契約可能年齢」が定められていて、ペットの年齢が契約可能年齢の範囲外にある場合は、そのペット保険に新規加入することができない。

そのため、これからペット保険に加入しようとするなら、まずは各ペット保険の契約可能年齢を調べ、加入できるペット保険を取捨選択する必要がある。この記事の最後にペット保険会社9社の契約可能年齢を一覧にした表1を掲載するので、参考にして欲しい。

例えば、業界最大手のアニコム損保では、新規加入の契約可能年齢を「11歳未満」と定めている。すなわち「11歳の誕生日前であれば保険に加入できる」ということだ。しかし、11歳の誕生日を翌日に控えるワンちゃんは、実は加入できない!

なぜか…?

年齢は、保険始期日で判断される

アニコム損保に限らず、すべてのペット保険会社の契約可能年齢は、「保険始期日」時点の年齢で定められている。「保険始期日」とは、保険契約における契約期間の初日のこと。「11歳の誕生日前だからまだ間に合う!」と思って加入を申し込もうとしても、実際に保険契約が始まるのは誕生日後のため加入申込みが受け付けられない、ということになるのだ。

そこで、いつから保険契約が始まるのかを正確に知っておく必要がある。

加入申込みの手続きが完了した後、契約が始まるまでにどの程度の期間を要するか?

実はその期間は、面倒なことに、ペット保険会社各社がそれぞれ個別に取り決めているため、統一されていない。期間が短いものでは、申込み手続きが完了したその日や翌日から契約が始まる会社がある一方、長い場合には、手続きしてから契約が始まるまでに2ヶ月以上待たされるケースもある。

また、同じペット保険会社でも、申込み手続きの方法によって手続き完了から保険始期日までの期間の長さが変わる。

ペット保険会社のホームページよりインターネット経由で申込み手続きが完結できる「オンライン申込み」は、書類のやり取りを通じて手続きする場合に比べ、保険始期日までの期間を大幅に短縮できる。

オンライン申込みはほとんどのペット保険会社で受け付けており、オンライン申込みに限り掛金を割り引く会社もある。契約可能年齢の上限ギリギリという場合のほか、万が一のことを考えてなるべく早く保険契約したいという方や少しでも掛金を節約したい方にもオススメだ。

ただし、オンライン申込みの場合、クレジットカードで掛金を支払うよう求められることが多い。保険加入に必要な情報を入力する申込み手続きの際に、個人情報やクレジットカード番号等をインターネット経由で送信することに抵抗がある方は、契約開始までに多少時間を要する「郵送型」によって手続きを進めよう。

この記事の最後に、申込み手続きが完了した後、保険契約がいつから始まるのか?(保険始期日はいつか?)について、ペット保険会社別に整理した表2を掲載するので参考にして欲しい。

ご長寿は注意!保険はいつまでも更新できるとは限らない

保険始期日時点のペットの年齢が契約可能年齢を満たしていれば、次におさえておきたいのは、「更新可能年齢」だ。

一般的なペット保険の契約期間は1年間。したがって、いま保険に加入しても1年後には契約が終了する。通常、契約が終了する前に、前もって保険契約の更新手続きを行う。自動更新契約となっている保険会社がほとんどなので、実際には、非更新の意思表示をしなければ自動的に更新が行われる。更新が完了すれば、切れ目なくもう1年、保険契約が継続される。

しかし、更新可能年齢を制限しているペット保険会社の場合、ペットの年齢が更新可能年齢を超えると、保険契約を更新することができず自動的に契約は終了してしまうのだ。

更新年齢制限は現在、4社のペット保険会社が設定している。契約可能年齢は17歳や18歳など高齢に設定されてはいるが、愛犬や愛猫がこの年齢を超えた場合、契約更新ができなくなり、保険契約が消滅してしまうのだ。ところが、その時に、別のペット保険会社に切り替えようとしても、新規加入時の契約可能年齢の範囲外となってしまうので加入することができず、結果的にどの保険にも入ることができない状態となってしまう。

更新年齢制限を定めていないペット保険会社は5社。これらは、ひとたび保険に加入できれば、亡くなるまで保険契約を更新することが可能。いわば終身補償タイプだ。一般的に、長寿といわれている犬種や猫種を飼養している場合は、契約更新年齢の定めがない終身補償タイプのペット保険会社を候補に入れておこう。

ペット保険会社各社の「更新可能年齢」については、「契約可能年齢」をまとめた表1に一緒に整理したので、参考にして欲しい。

新規加入は要注意、保険契約が始まってるのに補償が始まらない

ペット保険では、保険契約が始まる「保険始期日」のほか、補償が始まる「補償開始日」が別に定められていることがある。保険始期日と補償開始日が同一日でない場合、保険契約が始まっても補償は始まらない、つまり補償されないことがある。いったいどういうことだろうか?

ペット保険では通常、契約前にすでに発症していた病気やケガは補償されない。これを認めてしまうと、病気やケガの治療後に保険に加入して治療費を回収する行為が可能になってしまい、保険の仕組みの大前提となる”加入者間の公平性“が崩れ破綻してしまう。もちろん、掛金も今よりずっと高い金額に設定しなければならなくなる。

したがって契約前の病気やケガについては、補償の対象から確実に排除する仕組みが必要になるわけだ。特に初期症状に大きな異変が見られない病気の場合、いつ発病したのか判別しづらい。保険契約後すぐに病気が発覚した場合、その病気が契約前に発症したものなのか、契約後のものなのか判断が難しい。

このような判断に悩むケースを排除するため、保険契約が始まったのち一定期間が経過するのを待ってから補償が始まる仕組みを採用している保険会社が多い。この期間のことを「待機期間」と呼ぶ。つまり、保険契約が始まったのち、所定の待機期間を経てから、ようやく補償が始るのだ。

待機期間の長さも、契約可能年齢や更新可能年齢同様、ペット保険会社によってマチマチだ。また、同じペット保険会社でも、ケガの場合と病気の場合で待機期間の長さが異なり、病気の場合の待機期間のほうが長く設定されている場合もある。

なお、待機期間が設けられるのは、新しく保険に加入する場合に限られる。したがって、2年目以降の更新契約については、待機期間は設けられず、保険始期日(更新日)からすぐに補償を受けることができる。

また、ペット保険会社によっては、新規に保険に加入する場合でも、必ずしも待機期間を設けていない会社もある。加入申込み手続きから契約開始まで一定期間を要するために、その期間が待機期間と同等の効果があるとして、保険契約が始まると同時に補償も始まる仕組みになっている。

いずれにせよ、待機期間が設定されている場合には、保険契約が始まっても待機期間中は補償されないことを知っておく必要がある。ペット保険会社各社の待機期間について表2にまとめたので参考にしてほしい。

比較表

【表1】ペット保険会社別 契約可能年齢&更新可能年齢 一覧表

ペット保険会社名 契約可能年齢 更新可能年齢
アイペット 13歳未満 設定なし(終身)
アクサ 生後90日~14歳未満 14歳未満
アニコム 11歳未満 設定なし(終身)
FPC 生後30日~9歳未満 11歳未満
日本アニマル倶楽部 生後60日~12歳未満
(大型犬は10歳未満)
設定なし(終身)
ペッツベスト 生後50日~17歳未満 17歳未満
ペット&ファミリー 生後45日~8歳未満 設定なし(終身)
ペットメディカルサポート 生後120日~9歳未満 18歳未満
もっとぎゅっと 9歳未満 設定なし(終身)

【表2】ペット保険会社別 保険始期日及び待機期間の長さ 一覧表

ペット保険会社名 保険始期日 新規加入における 待機期間の長さ
アイペット (C)は申込日の翌月応当日、(振)は申込日の翌々月1日 無し
アクサ 申込み手続き完了の翌日 ガンを除く病気は30日間、 ガンは120日間
アニコム オンライン申込は手続き完了14日後、書類申込は毎月25日までに書類が到着した場合に、翌々月1日 病気に限り30日間
FPC (C)はクレジットカード承認日から20日後、(代)(郵)は掛金支払日から20日後、(振)は書類到着後1.5~2.5ヶ月後 無し
日本アニマル倶楽部 書類受付後15日後 ガンに限り45日間
ペッツベスト 毎月15日までに手続きが完了した申込みは翌月1日、毎月16日~末日に手続きが完了した申込みは翌月16日 病気に限り14日間
ペット&ファミリー オンライン申込は手続き完了翌日、書類申込は毎月15日までに書類が到着した場合に翌月1日 ケガは15日間、 ガンを除く病気は30日間、 ガンは90日間
ペットメディカルサポート 毎月2日~翌月1日に手続きが完了した申込みは翌々月1日 無し
もっとぎゅっと (C)はクレジットカード承認日当日、(振)は毎月15日までに書類が到着した場合に翌月1日 病気に限り15日間
  • (C)は「掛金をクレジットカードで支払う場合」
  • (振)は「掛金を口座振替で支払う場合」
  • (代) は「掛金を代引きで支払う場合」
  • (郵)は「掛金をゆうちょ銀行振込で支払う場合」
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ライター紹介

石川 拓也
保険、共済関連のフリーライターです。昼間の顔は、某保険会社関連企業でアナリストをしています。1974年生まれ、男性。ちなみに、名前はペンネームです。 更新情報などを配信しますので、よろしければ、Twitterへフォローをお願いします。

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