主要な補償内容 – ペット保険を徹底比較 vol. 2

2012/08/11

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プロの視点でペット保険を徹底的に比較するシリーズ。第2弾の今回は、保険の本質である「補償内容」を比較する。

ペット保険会社各社は、手厚い補償を備えるプランから最低限の補償だけを提供するプランまで、さまざまな顧客ニーズに応えるために数種類の保険商品を取り揃えている。その数は全社合計で20種類を超える。

それぞれの補償内容を比較するにあたり、まずは「補償割合」「補償限度額」「付帯特約」の主要3項目を比較していこう。

一般的な補償割合は「70%補償」と「50%補償」

ペット保険にはすべて「補償割合」が決められている。

「補償割合」とは、動物病院等で実際に要した治療費のうち、保険でカバーされる割合のこと。「支払割合」と表記するペット保険会社もある。

各保険商品ごとに50~100%であらかじめ設定されていて、割合が高いほど保険で補償される治療費の比率が高くなるため、自己負担は少なくなるわけだ。

100%補償なら自己負担は発生しないし、50%補償なら治療費の半額を自己負担することになる。もちろん、掛金は補償割合に連動するので、低割合のタイプの保険商品の方が割安だ。

100%補償のペット保険を販売するのは、日本アニマル倶楽部とペットメディカルサポートの2社のみ。特に、日本アニマル倶楽部は、販売するすべてのペット保険が100%補償であり、特徴的だ。一方、50%補償のペット保険を販売する会社は7社ある。FPCでは、販売する唯一のペット保険が50%補償タイプだ。

ペット保険会社9社のうち半数以上の6社で、高割合型の保険と低割合型の保険を取り揃えている。その主流は50%補償タイプと70%補償タイプで、これらの6社すべてが扱っている。

そのほか、90%補償タイプをアイペットともっとぎゅっとの2社が販売している。

一方、日本アニマル倶楽部、FPC、ペッツベストの3社は、提供するペット保険の補償割合が一律で、補償割合の選択肢はない。

【表1】ペット保険商品別 補償割合の一覧

ペット保険会社名 ペット保険商品 補償割合
アイペット うちの子70%プラン 70%
うちの子50%プラン 50%
うちの子ライト 90%
アクサ プラン70 70%
プラン50 50%
アニコム ふぁみりぃ70%プラン 70%
ふぁみりぃ50%プラン 50%
FPC FPCペット保険 50%
日本アニマル倶楽部 グリーンプラン 100%
プレミアムオレンジプラン
オレンジプラン
ブループラン
ホワイトプラン
ペッツベスト ファーストプラン 80%
ベーシックプラン
アクシデントプラン
ペット&ファミリー プラン70 70%
プラン50 50%
ペットメディカルサポート 100%補償プラン 100%
70%補償プラン 70%
50%補償プラン 50%
もっとぎゅっと スーパープレミアプラン 90%
プレミアプラン 70%
スタンダードプラン 50%

補償限度額は、最大補償額と使い勝手で見極めろ

ペットの入通院や手術を補償するにあたり、ペット保険会社各社はそれぞれ補償額の上限を定めている。診療費や施術費が上限を超えると、超過分は補償されずに自己負担を強いられることになる。そのため、各社のペット保険を比較する上で、「補償限度額」は極めて重要なチェックポイントだ。

補償限度額には3タイプある。

  • 「通院・入院1日あたり」や「手術1回あたり」の補償額に限度を設定する”日額型”
  • 補償期間中に補償する「入通院日数」や「手術回数」に上限を設ける”回数型”
  • 補償期間中に補償した通算合計額に制限を設ける”通算型”

それぞれの詳しい説明は、『これで安心、迷わないペット保険選び 3つのポイント』でされているので参考にしてほしい。

補償限度額の設定で一般的なのは「日額型」で、アイペット、アニコム、FPC、日本アニマル倶楽部、ペットメディカルサポートの5社のペット保険が採用している。このうちアニコムを除く4社は「回数型」との併用型。つまり、入院補償なら「1日あたりの補償額」と「入院の補償日数」の両方に上限が設けられている。

例えば、アイペットの『うちの子70%プラン』の場合、

  • 入院1日あたりの補償限度額が3万円
  • 入院補償日数は22日まで

とされているため、

  • 入院に伴う補償は、最大66万円(=3万円×22日分)まで
  • 通院補償は、最大26.4万円(=1.2万円×22日分)まで
  • 手術補償は30万円(=15万円×2回)まで

となり、各補償限度額を合計すると最大補償額は122万4千円となる。

アニコムの入通院補償は、「日額型」も採用しているが補償日数に制限は無い。そのため、入通院が長期化して治療費が膨らんだ場合でも頼りになる心強い保険だ。

一方、アクサペッツベストペット&ファミリーもっとぎゅっとは「通算型」の補償限度額を採用している。「通算型」のペット保険の場合、その補償限度額は、「日額・回数併用型」を採用する保険の最大補償額に比べて少ない場合が多い。先に見たアイペットの『うちの子70%プラン』の最大補償額が122.4万円であるのに対し、「通算型」のうち最も補償限度額が大きいペッツベストの『ファーストプラン』やもっとぎゅっとの『スーパープレミアプラン』でも、その補償限度額は年間100万円までとされている。

一見「通算型」のほうが補償が少ない気もするが、「日額・回数併用型」のように補償項目ごとの限度額が設定されていない分、使い勝手が良い場合もある。

例えば、長期入院によりその費用が100万円となるケース。ともに補償割合を70%とするアクサの『プラン70』(通算型)とアイペットの『うちの子70%プラン』(日額・回数併用型)を比較してみる。

実際に要した費用100万円のうち補償割合分の70万円が補償対象となる点はどちらも変わらない。しかし、アクサの『プラン70』では通算合計額の限度額までは補償されるため、きっちり70万円が補償されるが、アイペットの『うちの子70%プラン』では入院補償の限度額である66万円までしか補償されず、アクサの『プラン70』に比べ、補償される額が最低でも4万円少なくなってしまう。さらに、一日の限度額を超えてしまっている場合は、その超過部分がさらに減額されてしまうのだ。

このように、「通算型」の最大補償額は一見して小さく見えるが、実際の補償額は「日額・回数併用型」に比べて大きくなる場合があるということを知っておこう。

なお、「通算型」を採用する保険会社のうち、ペッツベストについては、補償期間中の通算限度額に加えて、1回の病気やケガに対する限度額も設けられている。また同社の保険は、1回のケガや病気の治療費に対して7,500円(『ベーシックプラン』は20,000円)の免責金額(=自己負担額)が設定されている。

「日額・回数併用型」でも「通算型」でも、補償限度額が大きいほど自己負担金額は少なくなるので、いざという時の安心感は増すが、もちろん掛金は割高になる。

【表2】ペット保険商品別 補償限度額の一覧

ペット保険会社名 限度タイプ プラン名 通院補償限度 入院補償限度 手術補償限度
アイペット 日額
回数
併用
うちの子70%プラン 12,000円×22日 30,000円×22日 150,000円×2回
(最大補償額:122.4万円)
うちの子50%プラン 12,000円×22日 12,000円×22日 100,000円×2回
(最大補償額:72.8万円)
うちの子ライト(※1) (補償なし) 500,000円×2回
※入院は手術を含む10日以内の入院に限る
(最大補償額:100万円)
アクサ 通算 プラン70 補償の通算限度額:70万
プラン50 補償の通算限度額:50万
アニコム 日額 ふぁみりぃ70%プラン 14,000円×無制限 140,000円×2回
(最大補償額:14,000円×無制限+28万円)
ふぁみりぃ50%プラン 10,000円×無制限 100,000円×2回
(最大補償額:10,000円×無制限+20万円)
FPC 日額
回数
併用
FPCペット保険 12,500円×30日 125,000円×3回 100,000円×1回
(最大補償額:85万円)
日本アニマル倶楽部 日額
回数
併用
グリーンプラン 6,000円×60日 12,000円×60日 90,000円×1回
(最大補償額:117万円)
プレミアムオレンジプラン 5,000円×60日 10,000円×30日 60,000円×1回
(最大補償額:66万円)
オレンジプラン 5,000円×60日 10,000円×30日 30,000円×1回
(最大補償額:63万円)
ブループラン 5,000円×30日 8,000円×20日 (補償なし)
(最大補償額:31万円)
ホワイトプラン (補償なし) 15,000円×30日 150,000円×1回
(最大補償額:60万円)
ペッツベスト(※2) 通算 ファーストプラン 補償の通算限度額:100万
(1回のケガや病気に対する限度額:50万)
ベーシックプラン 補償の通算限度額:50万
(1回のケガや病気に対する限度額:25万)
アクシデントプラン 補償の通算限度額:50万
(1回のケガに対する限度額:25万)
ペット&ファミリー 通算 プラン70 補償の通算限度額:70万
プラン50 補償の通算限度額:50万
ペットメディカルサポート 日額
回数
併用
100%補償プラン 10,000円×20日 20,000円×30日 100,000円×2回
(最大補償額:100万円)
70%補償プラン 10,000円×20日 20,000円×30日 100,000円×2回
(最大補償額:100万円)
50%補償プラン 10,000円×20日 20,000円×30日 100,000円×2回
(最大補償額:100万円)
もっとぎゅっと 通算 スーパープレミアプラン 補償の通算限度額:100万
プレミアプラン 補償の通算限度額:90万
スタンダードプラン 補償の通算限度額:60万

(※1)アイペットの『うちの子ライト』は、治療費が30,000円以上の場合に限り、補償対象となる。
(※2)ペッツベストは、補償割合に伴う治療費の自己負担のほか、1回のケガや病気の治療費に対して7,500円(ベーシックプランは20,000円)の自己負担を要する。

独自の補償を提供する付帯特約は、自分に合ったものをチョイスする

アイペットの『うちの子ライト』のように通院補償の無い保険や、日本アニマル倶楽部のブループランのように手術補償の無い保険が一部にあるものの、ほぼすべてのペット保険がペットの入通院と手術の補償をカバーしている。入通院と手術の補償は、いわばペット保険の基本形だ。

ペット保険各社は、基本形に加え、これ以外の特殊な補償を「特約」(とくやく)と称して提供している。特約の内容は各社さまざまで、中には他社が提供していない独自の補償を提供し、顧客ニーズに応えようとする会社もある。

また、特約には、追加掛金を支払って加入者の意思で選択できる「任意付帯型」と、加入者全員に自動的に提供される「自動付帯型」がある。ただ、任意付帯型の場合でも、追加掛金は少額である場合が多い。

たとえば、特約として一般的なものに賠償責任保険特約がある。愛犬が他人の物を壊してしまったり他人にケガを負わせてしまった場合などに、飼い主の賠償責任を補償する保険だ。アイペット、アクサ、アニコムの損保系ペット保険会社3社が、任意付帯型で提供する。

交通事故などの大事故に見舞われ、ペットが歩行できなくなった場合に、ペット専用の車イスを取得するための費用を補償する独特な特約もある。日本アニマル倶楽部とペットメディカルサポートの2社が自動付帯型で提供している。

また、前出の日本アニマル倶楽部とペットメディカルサポートにFPCを加えた3社は、ペットが亡くなった際の葬儀費用を補償する特約も販売している。日本アニマル倶楽部では、ペットが死亡したときの火葬、埋葬、供養のための仏具購入費などの実費について3万円を限度に補償する特約を自動付帯型で提供している。ペットメディカルサポートやFPCでも、同種の特約を任意付帯型で取り扱っている。さらにFPCでは、一定の条件を満たせば亡くなったペットの購入価格を補償するユニークな特約も用意している。

【表3】「基本形」以外の補償を提供する主な付帯特約一覧

保険会社名 主な付帯特約 付帯形態 補償の概要
アイペット 賠償責任保険 任意 他人をケガさせたり、他人の財物を壊した場合等、飼い主が賠償責任を負った際に損害を補償
アクサ 賠償責任保険 任意 同上
アニコム 賠償責任保険 任意 同上
FPC 病気死亡保険 任意 ペット購入時に加入した保険契約に限り、病死したペットの購入価格及び葬儀費用を補償
日本アニマル倶楽部 葬祭保険 自動 ペットが死亡した際の火葬、埋葬、供養のための仏具購入費等の実費を補償
高度後遺障害保険 自動 ペットの四肢のいずれかを欠損し、ペット用車イス等を購入した場合の実費を補償
診断書費用保険 自動 保険金請求時の診断書の作成費用を補償
ガン手術保険 自動 ガンの手術に要する費用について、通常の手術補償とは別枠で年間1回限り補償
ペットメディカルサポート 火葬費用保険 任意 ペットが死亡した際の火葬費等の実費を補償
ペット用車イス費用保険
(QOL維持費用保険)
自動 事故によりペットが歩行不能や歩行困難になり、車イス等を取得する際の取得費を補償
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ライター紹介

石川 拓也
保険、共済関連のフリーライターです。昼間の顔は、某保険会社関連企業でアナリストをしています。1974年生まれ、男性。ちなみに、名前はペンネームです。 更新情報などを配信しますので、よろしければ、Twitterへフォローをお願いします。

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