これで安心、迷わないペット保険選び 3つのポイント
2012/07/14
9社のペット保険会社が提供するペット保険商品をすべて数えると30種類近くにのぼる。この中から、自分(のペット)に合った保険を選択しなければならない。これだけ多いと、いろいろ比較したり考えたりするのが面倒になり、単純に掛金が一番安い保険に加入しよう―なんて安易な方法に流されがちだ。その結果、万が一のときに十分な補償が受けられず後悔した、というのはよく聞く話。
ペット保険選びのポイントをしっかり押さえて、賢いペット保険選びをしよう。
利用頻度が高い保険だから「しっかり選ぶ」
特にペット保険は、自動車保険などの他の保険に比べ、保険のお世話になる頻度が圧倒的に高く、年間に何度も保険を利用した、なんてことは当たり前。
保険金請求のたびに後悔することのないよう、ペット保険はしっかり吟味した上で加入したい。そこで、ここではペット保険選びに役立つ3つのポイントを紹介しよう。これさえ知っておけば、自分にはどんなペット保険が適しているのか把握でき、保険選びがグンと楽になる。
どんなに健康でも保険に入れない?!
ペット保険では、初めて保険に加入する場合、加入できる年齢の範囲が必ず定められている。これを「契約可能年齢」と言い、この範囲から外れた年齢のペットは保険に加入できない。
生後間もなかったり、老齢の場合などに保険に加入できないケースがある。例えば、生後90日未満や120日未満の子犬は加入できないペット保険がある。また、満12歳を迎えた健康な老犬が初めてペット保険に加入しようとした場合、半数以上のペット保険で契約可能年齢の範囲外のため加入できない。
ただし、ここで言う契約可能年齢は、初めてペット保険に加入する場合や、これまで加入していたペット保険を新しいペット保険に切り替える場合など、いわゆる「新規契約」に適用される年齢だ。すでに加入しているペット保険の「継続契約」の場合には、契約可能年齢に制限が無い場合が多い。
これから新たにペット保険に加入しようと考えている方や、いま加入している保険の切り替えを検討している方は、自分のペットの年齢が契約可能年齢の範囲に含まれているか、まずは確認する必要がある。なお、生後4ヶ月以上7歳以下の健康なワンちゃんなら、どのペット保険にも加入ができる。
また、継続契約の場合に、継続可能な年齢の上限が設定されている保険会社もあるので、長生きする犬種や猫種の場合は、ここもチェックしておきたい。
- チェックポイント1:新規の加入年齢制限と継続可能年齢を確認しよう
保険に入ってるのに、治療費が自己負担?!
千葉県に住むSさんは、昨年ペットショップで購入した愛犬ベティと仲良く元気に暮らす。しかし、ベティの様子がいつもと違うと感じたある日、突然嘔吐したことに驚き、不安そうにベティを抱えたまま動物病院で診察を受けた。診察の結果は喉の軽い炎症。大事に至らず、数度の通院と投薬で以前の元気を取り戻した。安心したSさんは、ペットショップで勧められるがままに加入したペット保険のことを思い出し、今回の治療に要した費用68,000円の補償をペット保険会社宛に請求した。ところが、Sさんに支払われたのは半額の34,000円のみ。残りの半額は補償されず、結局、Sさんが負担を強いられた。
このケース、ペット保険会社の説明によれば、Sさんが加入する保険は「補償割合」が50%のタイプの保険だった。
補償割合とは、動物病院等で実際に要した治療費等の費用のうち、保険でカバーされる割合のこと。50~100%の間であらかじめ設定されている。「支払割合」と表記するペット保険会社もある。
要するに、ペット保険会社が支払ってくれる割合のことで、「100%」なら治療費等の費用全額をペット保険会社が負担するため、加入者の負担はゼロということになる。
一方、今回のSさんのように「50%」なら、費用の半分はペット保険会社が補償するが、残りの半分は加入者が負担しなければならない。「90%」や「100%」など補償割合が高いほうが、いざという時の負担が少なくて済み、安心ではあるが、その分掛金も高くなる傾向がある。
いざという時の治療費の負担を和らげるか、日頃の掛金の負担を抑えるか、ペットの健康度や自分の懐具合もよく考えて検討したい。
- チェックポイント2:補償割合を確認しよう
100%補償なのに、自己負担が発生?!
愛知県に暮らすUさんの愛犬メイは半年前、「多中心型リンパ腫」の診断を受けた。いわゆる「がん」だ。以来、近所の動物病院までメイを連れてあしげく通う。Uさんが加入するペット保険の補償割合は100%。全額補償されるタイプの保険だ。先日、Uさんがこれまでに支払った合計70万円近くになる治療費等を補償してもらうため、ペット保険会社へ連絡すると、愕然とした。ペット保険でカバーできるのは総額50万円までで、超過分は補償されないと言う。
現在販売されているペット保険にはすべて、「補償限度額」というものがあらかじめ設定されている。
「補償限度額」とは、保険でカバーされる金額の上限のこと。例えば、Uさんのように、補償割合100%の保険に加入していても、治療費等の費用が補償限度額を超えた場合、その超過分については保険でカバーされず、加入者が負担しなくてはならない。
補償限度額は3種類ある。
1つは、「通院・入院1日あたりの補償額」や「手術1回あたりの補償額」に限度額が設定されているタイプ。
例えば、通院1日あたりの補償限度額が1万円の保険に加入すると、5日間通院した場合、1万円×5日=5万円が補償の上限額になる。実際の治療費が5万円を超えれば、その超過分は全額自己負担となる。
補償期間中の「入通院の補償日数」や「手術の補償回数」に上限が設定されているタイプもある。
例えば、通院補償限度日数が20日の場合、動物病院等で頻繁に治療を受けたことで補償期間中の実際の通院日数が合計20日を超えると、以降の通院は一切補償されない。
3つ目は、補償期間中における「補償の合計額」に限度額が設定されているタイプ。
入通院1日あたりの補償限度額や補償期間中の補償限度日数などは無い一方、補償期間中に支払われる補償の総額に上限値が設定されている。Uさんの事例がこのタイプで、例えば、補償期間中の補償限度額が50万円の保険に加入すると、補償期間中に保険でカバーされる金額は合計で50万円までとなり、これを超過した分は一切支払われない。
一般的に、補償限度額が大きいほど、いざという時に安心であるが、その分掛金は高くなる傾向がある。いざという時の安心をとるか、日頃の経済的負担を軽くするか、「補償割合」と同様、補償限度額についても十分な検討を行いたい。
- チェックポイント3:補償限度額を確認しよう
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ライター紹介
石川 拓也
保険、共済関連のフリーライターです。昼間の顔は、某保険会社関連企業でアナリストをしています。1974年生まれ、男性。ちなみに、名前はペンネームです。 更新情報などを配信しますので、よろしければ、Twitterへフォローをお願いします。