いま大人気の小型犬、掛金で選ぶならこの保険 – ペット保険を徹底比較 vol. 5
2012/09/19
プロの視点でペット保険を徹底的に比較するシリーズ第5弾。
今回は、各社の保険を比較する上でもっとも関心が高いであろう、各社の「掛金」に焦点を当てる。
各社のペット保険は補償条件やサービスが異なり、どの保険にもそれぞれ特徴がある。それらの特徴を無視して掛金を単純比較することはいささか乱暴かもしれない。しかし、保険選びにおいて、掛金の比較は極めて重要度が高いポイントであるのも事実だ。
掛金の比較はやはり不可欠で、ここではできるだけ補償条件の近い保険どうしを比べることで、各社の掛金水準やその傾向を大雑把にでも把握していきたい。
一目瞭然!補償条件が異なる掛金は、こうして比較する
ペット保険の場合、掛金の多寡に大きく影響する重大な要素は次の2つだ。
- ペットの年齢や品種
- 補償割合
同じ犬種で年齢が異なる場合、一般的には若い犬のほうが掛金は安い。また、掛金は、歳をとるほど高くなる。
同じ年齢で犬種が異なる場合、小型犬より大型犬のほうの掛金を高く設定しているペット保険会社が多い。
もっとも、保険の加入を検討する場合、愛犬の犬種や年齢を自由に選べるわけではないから、結局、どの「補償割合」を選択するかが掛金に最も影響を与える要素となる。
そこで、補償割合の違いによる掛金の影響を排除するために、掛金の構造を知ると、お得なペット保険が見えてくるで行ったように、「補償割合10%あたりの掛金」で比較をしてみよう。
現在販売されているペット保険の補償割合は50~100%の範囲で設定されているが、例えば補償割合50%のペット保険の場合には掛金を5で割った値を、補償割合100%の場合には10で割った値を比べてみるという具合だ。
このように補償割合を便宜的に合わせることで、なるべく同条件で各社の掛金水準を把握することにしよう。
キレイに二極化!掛金が高い会社、安い会社
まずは、最近の人気犬種ランキングで常に上位に位置する「トイプードル」の各社掛金を比較してみよう。
横軸に年齢、縦軸に掛金額をとり、各社の掛金水準を折れ線グラフで示した。各社の条件をなるべく合わせるため、ここで表示する掛金は、次のルールに基づいている。
- 各社の発売している保険のうち、補償割合が最も高い保険を対象とする。(ただし、アイペットの「うちの子ライト」は手術のみを対象とした特殊性が高い補償であるため、代わりに補償割合70%の「うちの子」を対象とした)
- 日本アニマル倶楽部とペッツベストは、他社と補償条件が比較的近い最上位商品の「グリーンプラン」「ファーストプラン」を対象とした。
- 各社が提供する割引は一切適用せず、年間一括払いの「基本保険料」をベースにした
- 基本保険料を「補償割合10%あたりの掛金」に調整した
こうしてできあがったトイプードルの各社の掛金水準を比べたのがグラフ1だ。
【グラフ1】トイプードルの各社の「補償割合10%あたりの掛金」の推移
※FPCは、11歳以上のペット保険加入を認めていないため、10歳までの表示とする。
グラフ1をみてわかるように、日本アニマル倶楽部を除いた8社の「補償割合10%あたりの掛金」は基本的に右肩上がり。つまり歳をとるにつれて掛金が高くなる。
各社の比較という点でその傾向をみると、以下のことがわかる。
- 掛金水準が高い保険と安い保険で二極化しており、4歳あたりまではその差は小さいが、8~9歳を過ぎた頃から3倍ほどに差が開く。
- どの年齢帯でも掛金水準が高いのは、アイペット、アクサ、アニコムの損保3社。ただ3社のうちアニコムは7歳頃から、アクサは9歳頃から加齢に伴う掛金の上がり幅が小さくなる。
- もっとぎゅっとも全年齢帯で掛金水準が高いが、同社は、犬種を問わず掛金が一律であるため、トイプードルのような小型犬の場合では、他社に比べて掛金が割高になってしまう。
- どの年齢帯においても掛金水準が安い層にあるのは、日本アニマル倶楽部、ペットメディカルサポート、ペット&ファミリー、FPCの4社。日本アニマル倶楽部は、トイプードルの場合、14歳まで掛金は変わらず、低位で一定している。
- ペッツベストは、低年齢帯では掛金水準が高いが、加齢に伴う掛金の上がり幅が全般的に他社より抑えられているために、5~6歳あたりを境に掛金水準が安いグループに仲間入りする。
掛金比較は保険選びにおける判断材料の1つ
犬種別掛金を採用するペット保険会社では、トイプードルは通常「小型犬」として扱われ、最も安い掛金が設定される。
しかし業界最大手のアニコムでは、トイプードルの掛金は犬種別に5段階の掛金体系のうち安いほうから2番目。トイプードルで比較する限りでは、他社に比べて多少の割高感が生じている。
もっとも、トイプードルと並んで人気犬種を代表するチワワになると、アニコムの掛金体系のうち最も安い保険料が設定され、トイプードルの掛金の9割程度に抑えられる。したがってチワワで同様な比較を行えば、アニコムの掛金グラフはグラフ1で描くラインより全体的にやや押し下げられて、損保3社の中では割安感がでてくる。
これらの掛金比較は、補償条件やサービス等が各社で異なるため、この結果だけをもって、単純に掛金が高いとか、安いとかを論じてはいけない。これまでの徹底比較シリーズで取り上げた内容も十分に吟味し、さまざまな角度から各社の保険を比較して保険選びを行っていく中で、掛金の比較も、その中の1つの要素として扱っていただくと良いだろう。
なお、今回取り上げなかった中型犬や大型犬、さらに猫における各社の掛金水準についても、次回の徹底比較シリーズの中で、その傾向を紹介していく予定だ。
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ライター紹介
石川 拓也
保険、共済関連のフリーライターです。昼間の顔は、某保険会社関連企業でアナリストをしています。1974年生まれ、男性。ちなみに、名前はペンネームです。 更新情報などを配信しますので、よろしければ、Twitterへフォローをお願いします。