中型犬~大型犬、猫でも、保険料はこんなに違う – ペット保険を徹底比較 vol. 6

2012/09/23

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前回は、小型犬における各社の掛金を比較した。今回は中型犬や大型犬、猫を対象として、前回と同じ手法で各社の掛金を比較する。

ペット保険の掛金は補償を構成するいろいろな要素で決められるが、とりわけ「補償割合」が保険料に大きな影響を及ぼすことは前回の記事で説明した。そこで、各社の掛金水準を比較するにあたり、今回も、補償割合が掛金に与える影響を取り除くために、各社の掛金を「補償割合10%あたり」に置き換えて、これを比較する。

ダックスフンド(スタンダード)は千差万別、掛金がお得な保険と損する保険

トイプードルチワワと並び、昔から常に人気犬種に挙げられているダックスフンド、特徴的な胴長のシルエットが愛くるしい。最近では、小型犬のミニチュアダックスフンドが大人気だが、ここでは、まだまだ根強い人気のある中型犬のスタンダードダックスについて比較をしてみよう。

ダックスフンドの胴長・短足の図体は、同時に関節への負担も大きく、ヘルニアをはじめとする関節疾患にかかりやすい。また、夏場の散歩では、足が短いために腹が地面から近くなり、熱中症にかかりやすいとも言われている。

このように他の小型犬と比べて治療を受ける機会が一般的に多いとされるダックスフンドは、小型犬より掛金の高い「中型犬」や「大型犬」として掛金を設定しているペット保険会社も多く、一方で小型犬のまま掛金を据え置く会社もあるため、各社の掛金設定が大きく異なる特徴的な犬種と言える。

前回のトイプードルの各社の掛金を比較したのと同じ方法で、各社のダックスフンドの「補償割合10%あたりの掛金」を比較したのがグラフ1だ。トイプードルのグラフに比べて各社の掛金水準のバラツキが大きくなり、トイプードルのグラフではくっきりと見られた掛金の高い会社・安い会社といった二極化傾向が全体的に弱まっている。

【グラフ1】ダックスフンド(スタンダード)の各社の「補償割合10%あたりの掛金」の推移

(グラフ上にポインタを置くと数値を確認できます。凡例の保険会社名をクリックすると、表示のON/OFFを選択できます。)

※FPCは、11歳以上のペット保険加入を認めていないため、10歳までの表示とする。

各社の比較という点では次のことが言える。

  • ダックスフンドを「小型犬」と同じ掛金水準に設定している会社と、「中型犬」や「大型犬」の掛金を適用する会社に分かれ、幼少期から各社の掛金差は大きい。
  • 損保3社の中でも業界最大手アニコムの掛金の高さが目立つ。全年齢帯で常に業界最高値あるいはそれに準じる水準で、12歳までの累計値は最高額。最安層のFPCや日本アニマル倶楽部の2倍以上に達する。
  • 犬種別掛金を設定していないもっとぎゅっとは、他社の掛金水準がトイプードルの水準より高まったことで、割高感が目立たなくなっている。特に4~8歳の壮年期では業界平均水準で推移する。
  • FPC、ペット&ファミリー、ペットメディカルサポートの3社の掛金は、10歳頃まで概ね業界最安水準で推移するも、11歳以降になると、ペットメディカルサポートが引き続き低位で推移する一方、FPCでは引受不可、ペット&ファミリーでは掛金の上がり幅が急激に大きくなるなど、三者三様のグラフを描く。
  • 14歳まで一定額を保つ日本アニマル倶楽部の掛金は、幼少期を業界平均で推移した後、5歳以降は業界最安水準で推移する。結果的に12歳までの累計値は最低額で、最高額のアニコムの半値以下となる。
  • ペッツベストの掛金は、加齢に伴う値上がり幅が全般的に緩やかなため、幼少期は業界最高水準で推移するものの晩年期は業界平均を下回る。

掛金差が大きくなる大型犬で、各社の傾向が一変!

次に、大型犬を代表する犬種、ゴールデンレトリバーの場合をみてみよう。

ダックスフンドと同様に、各社のゴールデンレトリバーの「補償割合10%あたりの掛金」を比較したグラフ2に注目して頂きたい。

ゴールデンレトリバーの掛金は、犬種別に掛金を設定するペット保険会社では、最も掛金が高い犬種かそれに準じる犬種として区分される。そのため掛金額が全体的に高くなる一方、犬種別掛金を採用しないペット保険会社との掛金差が広がる傾向が見て取れる。

【グラフ2】ゴールデンレトリバーの各社の「補償割合10%あたりの掛金」の推移

(グラフ上にポインタを置くと数値を確認できます。凡例の保険会社名をクリックすると、表示のON/OFFを選択できます。)

※FPCは、11歳以上のペット保険加入を認めていないため、10歳までの表示とする。

具体的には次のことが言える。

  • 幼少期はあまり目立たないが、歳を重ねるにつれてアイペットの掛金水準の高さが際立つようになり、高齢期では群を抜いて高い。幼少期に保険加入を検討する際には、加入時点の他社との掛金差が些少だが、生涯掛金は雲泥の差になる点は、留意しておきたい。
  • アイペット以外の損保では、アニコムの掛金がアイペットに次いで全体的に高水準である一方、犬種別に掛金を定めていないアクサの掛金は、概ね業界平均またはそれ以下の水準で推移。大型犬の掛金設定について、損保3社間の取組み姿勢にはっきりとした違いが読み取ることができる。
  • 犬種別掛金を設定していない もっとぎゅっと の掛金水準は、他社の更なる金額アップにより相対的に低下、ほぼ全年齢帯において業界平均値を下回る。一方、トイプードルやダックスフンドでは掛金水準が安い会社の代表格だった日本アニマル倶楽部は、ゴールデンレトリバーでは業界平均並みまで水準が高まり、12歳までの累計値では もっとぎゅっと を上回る。
  • FPCも犬種別掛金を設定しておらず、トイプードルやダックスフンド同様、ゴールデンレトリバーでも掛金水準は業界最安で推移する。ただ11歳時に保険に加入できなくなる点は相変わらずの懸念点で、掛金水準が同程度のペット&ファミリーやペットメディカルサポートとよく比較して検討したい。特にペットメディカルサポートでは、犬種別に掛金を設定するものの、小型犬と大型犬の掛金差は比較的小さいため、大型犬における同社の掛金水準の優位性が目立っている。
  • 加齢に伴う値上がり幅が緩いペッツベストの掛金では、他の犬種同様、幼少期を高水準で推移した後、高齢期は相対的に低水準で推移する。ゴールデンレトリバーのケースでは、ペッツベストの掛金は、業界平均をやや上回る水準となっている。

愛猫のペット保険は、この会社の掛金がお得!

これまで愛犬の掛金ばかりを比較してきたが、最後に愛猫の掛金についても触れておこう。

猫の場合、犬とは異なり品種によって掛金が異なる仕組みを採用しているペット保険会社は無く、どの会社でも愛猫の掛金は品種に関わらず統一されている。(アクサでは品種ではなく、血統種または交雑種の違いにより2種類の掛金体系が用意されている。)

各社の猫の「補償割合10%あたりの掛金」をグラフ3に示した。

ご覧のとおり、これまでのトイプードルやダックスフンド、ゴールデンレトリバーのグラフと似たような傾向を示しているのがわかる。各社の掛金水準を比較すると、次のことが言える。

【グラフ3】猫の各社の「補償割合10%あたりの掛金」の推移

(グラフ上にポインタを置くと数値を確認できます。凡例の保険会社名をクリックすると、表示のON/OFFを選択できます。)

  • 損保3社の掛金はゴールデンレトリバーのケースとよく似通う。全般的に水準が高めのアイペットは高齢期に群を抜いて高くなり、アイペットに次いでアニコムが高い水準を維持する一方、アクサは低位で推移し、全体では業界平均値を下回る。
  • もっとぎゅっと は、少額短期保険会社でありながらも全年齢期において損保3社と同程度の高水準な掛金を維持する。一方、12歳まで金額が変わらない日本アニマル倶楽部の掛金は、5歳頃から他社より明らかに安くなり始め、高齢期では目立って安い水準となって業界最安の地位を不動にする。
  • 犬猫一本化を採用するFPCの掛金は、業界最安クラスを誇っていた犬のケースとは一変、猫のケースでは業界平均並みの水準に高まっている。逆に、ペッツベストの掛金水準は、業界平均か平均をやや上回っていた犬のケースと打って変わって、猫のケースでは日本アニマル倶楽部に次いで安値で推移し、FPCとの間に逆転現象が見られる。
  • ペット&ファミリーとペットメディカルサポートの2社は、猫のケースでも互いに競り合うように業界平均を大きく下回る水準で維持するものの、高齢期に値上げ幅が大きくなるペット&ファミリーの掛金傾向は犬猫同様で、ペットメディカルサポートと大きな差となって表れている。

最後に、前回も申し上げたが、ここでの掛金比較は、各社で異なる補償条件等に目をつぶり、ある程度の補償条件の差異を残した状態で掛金を比較しているために、今回の結果だけをもって単純に掛金の差を論じるのは不適当である。

掛金の比較だけを重視して加入する保険を選び、加入後に後悔したという話は枚挙に暇がない。この記事をご覧いただく皆さまにはそんな失敗をしてもらいたくないので是非慎重に多面的に検討して頂きたい。

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ライター紹介

石川 拓也
保険、共済関連のフリーライターです。昼間の顔は、某保険会社関連企業でアナリストをしています。1974年生まれ、男性。ちなみに、名前はペンネームです。 更新情報などを配信しますので、よろしければ、Twitterへフォローをお願いします。

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